37年の時を経て、ようやくきちんとした形でリイシューされることになった「マイ・ジェネレイション」。アメリカでのリリースに少し遅れて、日本盤も無事に発売された。
 その日本盤をディスクユニオンで買うと、驚愕の購入特典がついてきたのである…。




 これが今回リリースされた「マイ・ジェネレイション<デラックス・エディション>」2枚組。
 ディスク1には、ファースト・アルバムを英オリジナル盤の曲順で収録し、それに米盤のみのトラックやデビュー・シングル「アイ・キャント・エクスプレイン」を収録。
 ただし音源はオリジナル・モノではなく、プロデューサーであるシェル・タルミー自身がマスターテープから今回新たにリミックス・リマスターしたトゥルー・ステレオ。素晴らしい音質である。もともとこんないい音で鳴ってたんだ…と感激。
 ただし、モノ・ヴァージョンにあるギター・オーヴァーダブのパートは欠けてしまっており、「マイ・ジェネレイション」の間奏部分などやや違和感がある。
 ディスク2には同時期に録音されたレア・トラックを収録。「WHO'S MISSING」などで既に耳にしていたものも多いが、音質は格段にアップしている。
 シェル・タルミーという人は初期キンクスのプロデューサーとして有名な人物。このおっさんが、ザ・フーとトラブルで決別したあともファースト・アルバムのマスター・テープの権利を独占し誰にも触らせなかったため、いままできちんとしたリイシューがなされてこなかったのである。
 ようやくその確執がとけたのか、それとも単に金が欲しくなっただけか、今回やっとタルミーはマスターの使用に同意し、このリリースが実現したというわけだ。
 ジャケットは英盤のものを使用。(米盤ジャケットは、封入ブックレットの表紙に。)そしてCDの盤面には、オリジナル盤(英ブランズウィック、米デッカ)のレーベルを再現。いちいちツボをついてきますねえ。
 日本盤のタスキには「遂に夢が実現!」と書いてあるけど、まったくそのとおり。完全同意します。




 で、これが驚愕のディスクユニオン特典。
 '66年に一度だけリリースされた「マイ・ジェネレイション」日本盤の紙ジャケである。(日本盤はマニアの間で「ガールズ・ジャケット」などと呼ばれる日本独自デザインだったのだ。)
 しかもミニチュア帯付き。「ザ・フゥー」ですよ。「全世界の若者達のアイドル、カーナビー・サウンドの最大スター」(帯表記より)ですよ。たまりません。
 この日本盤アナログはレアなことで有名で、バブル期には100万円近い値をつけたこともあるのだとか。ザ・フー・マニアにとって究極のアイテムのひとつでしょう。もちろん僕のようなへたれマニアの手の届くブツではありません。
 そのレプリカを特典に付けるとは…。ディスクユニオンおそるべし。
 普段は「ユニオン通販って、カード使えないし、送料も代引き手数料も取られるし…」と敬遠していた僕も、速攻で注文を入れてしまったのでした。




 ユニオン特典紙ジャケの裏面。
 写真のうつりが悪いのでよくわからないかもしれないが、ミニチュアサイズでも解説がきちんと読める。
 この解説(北山幹雄という人が書いている)がまたツッコミどころ満載で楽しめるのだ。
 ジョン・エントウィッスルのことを「ジョン・ブラウン(本名 ジョン・アレク・エントウィッスル)」として紹介しているし、「イッツ・ナット・トゥルー」をデイヴ・クラーク・ファイヴの同名異曲と取り違えているし。
 (※ 2004.6.26記 「ジョン・ブラウン」については、デビュー当時、ごく短期間ですがこう名乗っていたこともあったようです。勉強不足ですみません…。)
 
 「THE OX」(邦題は「牡牛」)の曲紹介はこう。
 「ここで彼等の最高のインストゥルメンタル・テクニックをお届けしましょう。ロジャーのギター、ピーターの12弦ギター、ジョンのピアノ、キースのドラムスが一体となって、大平原に君臨する牡牛を題材に、西部のたくましさを演奏します
 うははは。いいよ、いい。知らんかったなあ、この曲が「西部のたくましさ」を表現していたなんて。「THE OX」ってタイトルは、エントウィッスルのニックネームからつけたものだと思っていたが。
 ついでにつっこんでおくと、この曲でピアノを弾いているのはジョンじゃなくて、ゲストのニッキー・ホプキンスである。ロジャーもたぶんギターを弾いてないと思う。まあ当時はそんな情報もなかったんだろねえ。
 それはそうと日本盤は「マイ・ジェネレイション」がA面1曲目だったのか。B面1曲目は「リーガル・マター」だし。これまた日本独自仕様だ。
 そのあたりのことがわかったのも収穫であった。ありがとうディスクユニオン。これからもがんばってください。期待しています。

(2002.09.13)

最新の日記に戻る

「資料館」メニューに戻る

トップページに戻る  


inserted by FC2 system