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はてなダイアリー(Everything but Music)
2006年1月15日(日) Cosmic Debris |
雪雪雨雨なだれなだれ……ああ。 ○フランク・ザッパ「THE DUB ROOM SPECIAL」(DVD) 去年の秋にDVD化されたんだけど、リージョンコードが「1」であるおかげで買うかどうか迷っていたブツ。amazonで1800円程度という安さだったので思い切って買ってみました。リージョンコードのせいで、普通のDVDプレーヤでは見られませんが、PCのソフトウェアプレーヤを使えば見ることができます。(ただしリージョン設定変更の回数制限があるので、永続的に見るにはこれとかこれといったソフトウェアが必要。) 1974年と81年のライヴをシームレスにつなげた作品。かつて輸入盤VHSでリリースされていましたが、僕は入手し損ねていたので初見です。(VHSは通販オンリーだったっけ?) なんといっても'74年の映像を見ることができるのが嬉しい。あの「ワン・サイズ・フィッツ・オール」や「ヘルシンキ・テープス」と同じメンツですから。特にルース・アンダーウッド! あの超絶パーカッション・プレイを目の当たりにできるのがたまらないです。「Approximate」でのパントマイム演奏もユーモラスで可愛らしいし。チェスター・トンプソンのタメの効いたドラムスもいいなあ。もちろんナポレオン・マーフィー・ブロックのコミカルなショーマンぶりも、寡黙ではあっても楽しそうなトム・ファウラーのベースも、ジョージ・デュークのこれまたテクニカルなキーボード・プレイも、そしてザッパのギター・プレイも素晴らしい。至福至福。 ちなみにここでの「Florentin Pogen」と「Inca Roads」は、前出「ワン・サイズ」収録テイクのベーシック・トラックとなったものです。 対する'81年バンドの方も見どころは多々ありますが、やっぱスティーヴ・ヴァイですかね。「Stevie's Spanking」におけるザッパ師匠とのギターバトルはなかなかに見応えがあります。ステージ上で髪切られてるし。 '74年バンドに比べると少々小粒な感じのする'81年バンドではありますが、それでもそんじょそこらのバンドをはるかに凌駕するレベルですから十分に楽しめます。特に「Easy Meat」での盛り上がり方にはけっこう熱くなってしまいました。 ボーナス・マテリアルとしては「Baby Snakes」予告編と「Valley Girl Documentary」と題された短編ドキュメンタリーを収録。このあたりは英語の聞き取りが不自由な僕のような人間にとってはちょっとつらいですが、「Dub Room」本編に収録されなかったライヴ・シーンがちらりと出てきたりしておおっとなります。 英語聞き取りといえば、本編でのザッパのしゃべりやメンバーとのやりとりがわからないのもちょっとつらいです。きちんとした字幕をつけた日本盤をリリースしてほしいもんです。それまでは例のごとくここの書き起こしテキストを読んで我慢することにしましょう。 最後におまけ情報をひとつ。 このDVDとは直接関係ありませんが、ムネカタさんも日記でとりあげておられた「YouTube」で、ザッパの映像がいろいろと見られます。かなり珍しいものもありますんで、興味のある方はどうぞ。 |
2006年1月12日(木) Anyway,Anyhow,Anywhere | |
◆イヤホンが難聴の原因に――『ザ・フー』のギタリストが警告(HOTWIRED JAPAN) 有史以来、もっとも巨大な音量の音楽をもっとも長い時間演奏し、聞き続けてきた人物の言うことですから、素直に聴いておきましょう。そういやロジャー・ダルトリーも、爆音のおかげで片耳駄目にしてるんじゃなかったっけ? 今日は仕事で名古屋に出張。その帰りに近鉄パッセのタワーレコードに寄る。2006年の初タワレコです。 輸入雑誌のコーナーを見ていたら、ザ・フーのジジイ二人が表紙にどかんと載っているMOJOを見つけたので購入。 もちろん特集もたっぷりあるんだけど、「THE WHO COVERED」と題されたトリビュートCDがおまけについているのが嬉しい。こんな↓内容。
でも、リチャード・トンプソンが歌う「リーガル・マター」はまごうかたなきA級の名演でした。Tommy Keeneの「いれずみ」も甘酸っぱさ満開。 Lord Sitarってバンド(?)の「恋のマジック・アイ」、シタールがびよんびよんと旋律を弾いていくインストなんだけど、爆笑しつつもうなってしまう。このアルバムから引っ張ってきたらしい。すごい傑作だったらどうしよう。 それからPetra Hadenのこのアルバムはちゃんと聴くべきかもと思った。え、チャーリー・ヘイデンの娘なの? |
2006年1月10日(火) 今日はなんだか |
◆あるバンドの物語 (情報元:telの音楽三昧) 村松邦男によるシュガー・ベイブ時代の回想。現在もまだ連載中。これからゆっくり読む。 そういやHMVによる日本のシンガーTOP30の第1位はこのお方でした。堂々。 ◆Forever Young〜当時の洋楽宣伝マンたちのプロモーション用チラシより (HIGH-HOPES管理人のひとりごと) 1980〜81年にワーナー洋楽宣伝部が配布していたニュースペーパーのスクラップがここで読める。(pdf形式) あの時代の匂いがぷんぷんします。いいなあ。 ◆カートとコートニーの愛娘が複雑な心境を語る(MTV JAPAN) グランジな両親を持っても、それなりにまっとうに育っているみたい。読んでて目頭が熱くなったよ。 ◆遂に紙ジャケで登場!! ソフト・ロック・シリーズ第1弾(ディスクユニオン) ミレニアムにサジタリウス、ブルース・ジョンストンも紙ジャケ化か……買う? ◆日本人アーティストによるR.ストーンズの“直球”トリビュート(CDJournal.com) けっこうそれっぽいメンツやん、と思いつつリストを見ていって、最後から二番目でお茶吹き出しそうになった。いいのかこれで。 |
2006年1月5日(木) Where I like to stand |
○ヴァシュティ・バニヤン「ジャスト・アナザー・ダイヤモンド・デイ」 オリジナルアナログには日本円で6桁の値段がついていたという70年発表の伝説的ブリティッシュ・フォーク作品。初めて聴いた。 おだやかな美しさに満ちたチャーミングなアルバム。連想したのは古いのではこれ、新しいのではこれ。空気感が似ていると思う。ベッドに寝転がって聴いていると、気持ちよくなりすぎて必ず途中で寝てしまうところまで同じ。 35年ぶりの新作も評判がいいみたいなので聴いてみようかな。 ちなみに僕が買ったのは去年11月にリリースされた紙ジャケ盤。ちょっと高いけど美しい仕上がりです。 |
2006年1月4日(水) Another brick in the wall |
もう仕事はじまっちゃったよ…。 ◆ピンク・フロイド『ザ・ウォール』を大物たちが完全再現!(BARKS) イエス&クリムゾン&TOTO&ディープ・パープル&エイジアが「ザ・ウォール」をカヴァー。オリジナルよりも暑苦しくなりそう。 ◆ブルース・スプリングスティーン、新作の準備へ(リッスンジャパン) やるときはやるひとだから。そういや「明日なき暴走 30周年記念盤」聴かなきゃ。ああ。 ◆北米コンサート興行収入トップはストーンズ(Bridges To The Stones) 興行収入よりもチケット平均価格が興味深い。バリー・マニロウって153ドルもするのかよ…。 ◆ドナルド・フェイゲン、ソロ・アルバムをリリース(RollingStone.com) 13年ぶりのソロアルバムのタイトルは「Morph The Cat」。三月にリリース予定。初めてのソロ・ツアーも行う予定があるとのこと。相棒のウォルター・ベッカーもソロ作品を制作中だとか。 ◆戸川純関連、壁紙特典あり!(HMV Japan) 僕がサイト休んでた間にリリースが発表された戸川純紙ジャケ。 ゲルニカや「玉姫様」もいいけど、ひさしぶりに「好き好き大好き」が聴きたい。 ◆ザ・フー来日か?(RollingStone.com) これもサイト休止中に流れたニュース。マネージャーがアメリカや日本、ヨーロッパ等を巡る夏のツアーについて言及したとの記事。まだ半信半疑なんだけど、ほんとに実現するなら嬉しいね。 |
2006年1月3日(火) 99 blues |
佐野元春紙ジャケ後編です。 「彼はハーポ・マルクスの孫であり、バディ・ホリーの息子であり、ウディ・アレンの甥であり、ブルース・スプリングスティーンの弟である。彼の右ポケットにはウィリアム・ブレイクが、左ポケットにはジャック・ケルアックが入っている。」 これはあるアメリカの音楽ジャーナリストが佐野元春&ハートランドの演奏を体験した後に記した言葉です。初期の彼の姿を的確に表した文章ですね。 しかし、一年間のニューヨーク生活の後に彼が発表した「VISITORS」(1984)は、そのイメージを大きく裏切るものでした。 前にも書いたことがありますが、これは佐野が当時のNYの空気(特にラップ/ヒップ・ホップ・シーンの。)をじかに呼吸して作った「知恵熱」作品集です。それなのに20年が過ぎた今聴いても古びていないことには驚かざるを得ません。いっさいの感傷を拒否する強靱な魂を持った作品だと思います。この音楽を聴いて困惑し、彼から離れていったファンも多かったでしょうが。 そして「VISITORS」が巻き起こした波紋を自ら悪戦苦闘しながら消化し、「エレクトリック・ガーデン」やアナログ7インチシングル連続リリースを経て1986年に発表されたのが「Cafe Bohemia」でした。 このアルバムは僕の中では非常に座りの悪い位置にあります。なぜならあまりにスタイル・カウンシルのアルバム(「カフェ・ブリュ」「アワ・フェイヴァリット・ショップ」)に似すぎていたからです。残念ながらその印象は今回紙ジャケを聴きかえしてみても変わりませんでした。シングル「ヤング・ブラッズ」が先行リリースされたときに「あ、これはまんま『シャウト・トゥ・ザ・トップ』だなー」と思ったのですが、まさかアルバムまでがこうなるとは思いませんでした。 これは彼の興味がニューヨークの音楽シーンからロンドンの音楽シーンにうつってきたことのあらわれでもあるのでしょう。でもあまりに素直にリスペクトしすぎたと感じます。「ストレンジ・デイズ」や「99ブルース」、「クリスマス・タイム・イン・ブルー」など個々の楽曲には好きなものもあるのですが。 「HEARTLAND」(1988)は、'87年9月の横浜スタジアムでの演奏(僕も観にいきました)を中心に収録した初のライヴアルバム。当時はCDバージョンとLPバージョンの2種でリリースされましたが、今回はLPヴァージョンに準じた2枚組仕様での再発です。28Pオールカラー・ブックレットもミニチュアになってちゃんと付属しています。 ここでは彼の代表曲の多くが、アレンジを大幅に変えられて演奏されています。特に「VISITORS」収録曲のアレンジ変更は非常に興味深いものです。まあそんなことを考えなくても単純に、ワイルドでエネルギッシュな彼(とザ・ハートランド)の演奏を楽しむことのできるアルバムではあります。オーヴァーダビングや差し替えを全くおこなっていないのも潔いですね。 今回の再発の最後を飾る「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」(1989)は、個人的に彼の最高傑作だと思っています。 デビュー当初はビリー・ジョエルやスプリングスティーン、その後はNYのヒップホップ・カルチャー、スタイル・カウンシル等から影響を受け、それを自分の音楽に素直に表現してきた彼ですが、このアルバムで聴けるのは「佐野元春の音楽」以外のなにものでもありません。「言葉」の充実も含めたすべての点で。 コリン・フェアリーのプロデュースも的確だし、ブリンズリー・シュウォーツ、ボブ・アンドリュース、ピート&ブルース・トーマスといったミュージシャンの演奏も素晴らしいのひとことです。 佐野自身が昔から取り組んできたポエトリー・リーディングの成果が、「ブルーの見解」「ふたりの理由」といった曲に結実しているのも見事です。未聴の方はぜひ。 ああまた長くなってしまいました。佐野元春については書きたいことが多すぎます。80年代の自分にとってはほんとに大切なミュージシャンだったので。でもこれだけ書いたらずいぶんすっきりしましたよ、うん。 |
2006年1月2日(月) So young |
あけましておめでとうございます。本年も「音楽観察者」をよろしくお願いいたします。 昨年はちょっと新譜を聴きすぎたかなーと思っているので、今年はそれよりも長年鎮座ましましている未聴の塔を少しでも低くすべくがんばりたいと思います。 12月にリリースされた佐野元春紙ジャケCD8タイトル。うちの近所のCDショップではあまり置いてるところがなくて、なんだか”ひっそりと発売”という印象ですが…。 紙ジャケとしての出来はなかなか秀逸です。インナーや当時の帯も再現してあるし(ちゃんと「巻き帯」で)、CDの盤面はアナログ盤のレーベルを使用。そしてなんといってもリマスターが素晴らしい。なぜかクレジットが掲載されていないんだけど、ここを読むとかなり力を入れてリマスタリングしたことがわかります。佐野元春本人が「オリジナルの持っていた雰囲気がすごく伝わるマスタリングだと思う。僕自身が、当時のレコーディングでコンソールの前に行って、スピーカーから出てくる音を思い出しましたから。 」と言っているくらいの出来。やっぱり紙ジャケというのはアナログ盤のパッケージを単に再現すればいいわけじゃなくて、それに見合ったリマスターがあってこそのものだということをしみじみ感じました。 では以下ひさびさに各アルバムを聴きかえした感想を。 ファースト「BACK TO THE STREET」(1980)は、デビュー・アルバムと思えないほど完成度の高いアルバム。1曲目「夜のスウィンガー」のかっこよさは今も色あせていません。すでに「アンジェリーナ」「情けない週末」「勝手にしなよ」といった名曲も収録。当時、彼の音楽は「シティ・ポップス」というような枠組みで語られがちだったけど、今聴いてみるとそんなソフトなイメージより、もっとシャープなロックンロール・スピリットを感じますね。 セカンド「Heart Beat」(1981)は前作よりもポップにパワーアップしたアルバム。なんといっても名曲「ガラスのジェネレーション」が素晴らしいのですが(しかも1曲目)、そのほかにも「Night Life」や「バルセロナの夜」、「悲しきRADIO」、「君をさがしている」といった印象的な曲がめじろおし。ビリー・ジョエルやブルース・スプリングスティーンといった洋楽アーティストのサウンドをうまく自分のものにしているところが見事です。 そして1982年リリースの「SOMEDAY」。「日本ロック史に残る名盤」という評価が定着してしまっているようですが、僕はそこまでだとは思わないのでした。タイトル曲を筆頭に、ナイアガラサウンドっぽい「Sugartime」など名曲に溢れたアルバムなんですけど、なんというか作品全体に奇妙なぎこちなさや試行錯誤感が漂っているように思うのです。 まあ当時繰り返し繰り返し聴いたアルバムなので、そのときの自分の生活状況や記憶と分かちがたくなってしまっていて、客観的な評価ができないのかもしれません。今回改めて聴いたら、忘れていたいろんなことを思い出してしまいましたよ…ああ。 沢田研二がコーラスで参加した「Vanity Factory」という曲が特に好きです。 「No Damage」(1983)は第1期佐野元春の集大成といえるベストアルバム。準オリジナルアルバムといってもいいくらい気合いの入ったベスト盤で、起承転結を意識した選曲・曲順(しかもオリジナルアルバム未収録のシングル曲も多数収録してある)や、曲と曲の見事なつなぎ方などはコンセプトアルバム的ですらあります。サウンドに統一感を持たせるため、いくつかの曲は再録音したり、ミックスに手を加えたりしてもいます。 もし初期の佐野元春を体験していないのなら、最初に聴くのはこのアルバムが最適でしょう、文句なく。これこそ日本ロック史上に残る名作ベストアルバムだと思います。 さて、「No Damage」をリリースした佐野元春はNYに向かい、そこで1年間を過ごした後に衝撃的な作品を携えて帰国するわけですが……長くなってしまいましたので続きはまた明日。 |
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