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はてなダイアリー(Everything but Music)

 2005年1月31日(月) Round and Round
◆ワーナーミュージック・ジャパンもCCCDから撤退に(CDJournal.com)
 ぱちぱちぱち。はやく追随してよ、東芝EMIさん。

◆エルヴィス、UKチャートNo.1に返り咲く (soundgenerator.com)(英語)
 奪還だって。凄いな。曲は「イッツ・ナウ・オア・ネヴァー」。

◆バカクラシック (ネタ元:Hiro Iro)
 ひゃはははは。タイス音頭と演歌「新世界」と「トロイ目来」が好き。完成度高。「(爆)」連発はちょっとイタいけど。
 「西新井プラグ院劇場」というサイトのコンテンツらしい。

 月曜の出勤時にはなにを聴くか迷う。たいてい気分が最低なので、なにをかけてもおもしろくない。
 今朝はソニック・ユースかけてダメで、U2もピンとこない。結局ブリグリ「TERRA2001」になった。なんじゃそりゃ。
「することもなくて夜も昼もあくびしたり泣いたりして/それはもういくじなしで寒がりの悪魔が胸に住んでる/もしこの魔法が解けるのなら朝に階段を一段でも昇って/手を伸ばし風を感じ雨粒を感じ鏡を叩き割るのに」(「そのスピードで」) 

 2005年1月29日(土) Miracle Drug
 くらやみのスキャナー経由で知った「最安値中古CDを探せ!」
 ああ僕のブリッジが「犬キャラ」が「Mike Alway's Diary」が250円、180円、30円……泣く。

 
○U2 「How To Dismantle An Atomic Bomb」
 人より遅く新譜レビューするのが僕の信条。
 ……ウソです。塔と化している未聴旧譜にまみれて、新譜を聴くのがいつも遅れるだけです。
 気を取り直して。
 U2の新作を買ったのはほんとにひさしぶりだ。最後に買ったのは「ZOOROPA」('93)だからもう11年か。小学1年生が高校生になっちゃうくらいの長さだな。(あ、でもその間に出たベストアルバムは買ったな。2枚とも。今思い出した。)
 「The Joshua Tree」や「Rattle and Hum」はかなり好きで当時よく聴いてたんだけど、そのうちにボノが醸し出す暑苦しさや大御所ぶりにへきえきしはじめ、知らぬ間に彼らから遠ざかってしまっていた。
 今度のアルバムを買う気になったのは、試聴機で聴いた「Vertigo」があまりにかっこよかったから。こんなバカみたいにアッパーな曲を今もやれるんだ、と驚いたから。
 しかし「Vertigo」の印象とは違い、アルバム全体はしっかりと地に足のついたものだった。僕が熱心に聴いていた頃の王道サウンドに近い。しかもそれが全く古くさく聞こえず、むしろみずみずしいくらい新鮮に響いてくるのには感嘆する。やっぱただものじゃないわ。2004年中に聴いていたら、私的ベスト5に入れたかもしれない。
 付属のDVDには、レコーディングドキュメントや「Vertigo」のPVなどが収録されている。みんな外見がオヤジになったなあ。まあ仕方ないけどな。
 そんな中、ボノが「このアルバムはオレたちのファーストアルバムだ。『Vertigo』はデビューシングルさ」と言っていたのはちょっと良いと思った。強がりには聞こえなかったし。
 DVDの収録時間は約40分ほど。僕が買ったのは輸入盤だが、日本語字幕が選択できるようになっている。もちろんリージョン・フリー。
 ちなみに、僕はハードカバー付きの「Limited Edition」ってやつを買ったんだけど(DVD付き日本盤より安かったので)、これは失敗でした。繰り返し聴くには不便なことこの上ない。U2のハードコア・ファンでもないのに限定盤なんか買っちゃうのは僕の悪い癖です。

 2005年1月27日(木) Purple Haze
◆ジミヘン少年のペプシCM (from 医学都市伝説)
 ペプシを選んだのでジェームズ・マーシャル・ヘンドリクス少年はギター・ヒーローになりました。もしコカ・コーラを選んでたら情けない音楽しか作れませんでした。
 ここまで露骨だとなんだかなあ、って感じ。理屈もなんもないもんね。故人だからって、あんまり勝手に利用しないでほしいっす。

◆テルミン・プラ (from 幻の洋楽研究会TOP四拾)
 ほほほー。こりゃいいや。もっと動画が長いといいのに。

◆マッカートニー、北米ツアー決定 (Bliiboard.com)(英語)
 今年は、彼以外にもU2やストーンズなどいろいろな大物がアメリカ・ツアーをする年だそうです。
 それはそうと、ニューアルバム制作中なんですね。プロデュースはナイジェル・ゴドリッチ(レディオヘッドのプロデュースをした人)なんだって。ふーん。

 2005年1月26日(水) The happiest days of our lives
◆ハッピー・マンデーズのべズ、国民的アイドルに(BARKS)
 リアリティ番組で勝ち残ったらしい。これってジョン・ライドンが出て人気を博したやつ?と思ったら違いました。
 あれはジャングルが舞台だったけど、これは一軒家に閉じこめるらしい。いろいろあるんですね。

◆コートニー・ラヴ激太り(情報元:オフビート)
 げげげげげ。なんじゃこりゃ。ほんとにコートニー? そこらのオバちゃんと変わらんぞ。

 昨日・今日の出勤時に、ピンク・フロイド「エコーズ〜啓示」を聴く。
 ディスク1の1曲目が「天の支配」、ディスク2のラストが「バイク」。シド・バレットが中心となって作った唯一のアルバム「夜明けの口笛吹き」の1曲目と最終曲。そのままはめこまれている。
 そして、ディスク2の1曲目には、シドへの哀歌「狂ったダイアモンド」。シド・バレットのためのベスト盤。
「自転車を手に入れたんだ よければ乗っていいよ/バスケットもリンリン鳴るベルも いかしたものはすべてついてる/君にあげたいけど 実は借り物なんだ/君は僕の世界にぴったりくる女の子 君が欲しがるものは なんでもすべてあげるよ」(「バイク」)

 2005年1月25日(火) I should be so lucky
◆カイリー・ミノーグ、ピート・ウォーターマンを法廷にひっぱりだす(GIGWISE.com)(英語)
 '92年にリリースされた「Greatest Hits」の売り上げのうち自分の取り分44万3000ポンド(約9000万円)が未払いだと、恩師ともいえるピート・ウォーターマン(あのストック=エイトキン=ウォーターマンの一人)を訴えたとのこと。
 使われてる写真がすごいなー。

◆リンゴ「僕は愛されていない」(ITV.com)(英語)
 自分は母国イギリスの人々に愛されていない、とリンゴ・スターが語ったそう。で、LAの方が好きだと。なぜ愛されていないと感じているのかよくわかりませんが。本人も”That's just how I feel. It's not a fact - it's just a feeling" と言ってます。
 それからもうひとつ、引退するつもりがないことも表明。
「スティックが握れる間は引退する理由なんかないよ。ミュージシャンでいるということは喜びさ」

◆スクリッティ・ポリッティの初期レア音源集、発売に(CDJournal.com)
 おお。ちょっと前にラフ・トレードの編集盤聴いてて、初期のスクリッティ・ポリッティってやっぱかっこいいよな〜と思っていたところなので、これは嬉しい。ついでに「キューピッド&サイケ」もリマスターしてくれ。

◆ローリング・ストーンズのシングル・ボックス第3弾発売(CDJournal.com)
 自分用メモ。今度はDVDがおまけにつくのか。収録映像自体はあまりレアっぽくないけど…「マザー・イン・ザ・シャドウ」ライヴってのだけ気になる。

イエローマジック歌謡曲テクノマジック歌謡曲のジャケット(情報元:自然体。
 ははははは。これは両方買えということだな。

 2005年1月24日(月)  A Fool Such As I
◆エルヴィス・プレスリー、ハット・トリック達成か(UNDERCOVER)(英語)
 プレスリー生誕70周年シリーズとして再発されたシングルが、イギリスのチャートで3枚連続ナンバー1になるであろうという記事。既に「監獄ロック」と「ワン・ナイト」は連続で1位になり、しかもイギリスのチャートが'52年に始まってから数えて999枚目と1000枚目のナンバー1に該当するというおまけつきだそうだ。
 すごいなあ、大滝詠一氏が言うように、イギリス人は世界一エルヴィスへの忠誠心を持っているんだ、と感心する。
 が、しかし、そうはうまくいかなかったようで…↓
◆R&Bスターがエルヴィスのチャート制覇を止める(BBC)(英語)
 Ciaraっていう去年デビューしたばかりの新人が阻止しちゃったらしい。惜しい。まあでもこれがポップチャートのあるべき姿かも。

 仕事の行き帰りにマイク・オールドフィールドのブート音源を聴く。'81年2月4日、ドイツ・ハノーヴァーでのライヴ
 アルバム「QE2」発売にともなうツアー。マギー・ライリーやモーリス・パートを要するバンドによる演奏だ。
 マイク・オールドフィールドのライヴアルバムといえば「Exposed」があるけれど、あれよりもずっと小編成でバンド色の濃い演奏が繰り広げられる。この編成で「オマドーン」や「プラチナム」をやっているのもおもしろい。FM音源らしく音質も上々。でも、なぜ「チューブラー・ベルズ」はパート1と2をさかさまに演奏しているんだろう?

 2005年1月23日(日)  Dust in the wind
 

カンサス「ファースト」「ソング・フォー・アメリカ」「仮面劇」「永遠の序曲」「暗黒への曳航」
 今から25年ほど前、「アメリカン・ハード・プログレ」なるジャンルがあった。カンサス、ボストンを筆頭に、スティクス、ジャーニー、TOTOといったバンドがその中にひとくくりにされていた記憶がある。
 まあ要は、アメリカのバンドでプログレっぽい音を出してたり、コンセプトアルバムを作ったりしていたグループがそういう呼び方をされていただけで、ムーヴメントというよりは、レコード会社がレコードを売りやすくするために作ったジャンルに過ぎなかったように思う。
 正直、前記のバンド群は「大味なところが持ち味」みたいなグループが多くて、あまり好きではなかった。のちのち「産業ロック」と呼ばれるジャンルのさきがけとなったバンドばかりだし。
 しかし、唯一、カンサスだけは好きだった。
 ブリティッシュ・プログレの繊細な抒情とアメリカン・ロックの泥臭さという「混ぜるなキケン」的な二要素を、奇跡的に(いや「強引に」かな)融合して、唯一無二の個性を作りあげていたのが「暗黒への曳航」までのカンサスであった。
 そのあたりが、中途半端に頭でっかちでエネルギー空回りな中学生(俺)の心をヒットしたのだと思う。
 なにせこのバンドはツイン・ヴォーカル、ツイン・ギター、ツイン・キーボードにヴァイオリンまでいて、哲学的な歌詞が付いた長いけれど全然難解ではない曲をやっていたのだ。特にロビー・スタインハートが弾くジプシー・ヴァイオリンの哀愁フレーズにはぐっときた。
 とはいえ、そろそろロッキン・オンなんかを読み始めていたロック少年としては、おおっぴらにカンサスのことを好きだといえなかったりした。ロッキン・オン的価値観からいえば、あんなの聴くなんてどうかしてる、と断罪されてしまうバンドだったのだ。
 今考えるとあほらしい。好きなものは好きでいいやん。音楽は音楽なんだから。イデオロギー聴いてるわけじゃないんだから。
 今回、カンサスのことを書こうと思ったのは、去年の秋に出たリマスター盤5種を最近まとめて聴いたからである。ちゃんと日本盤を出してくれたのには感謝している。しかもソニーなので低価格だ。どうせなら紙ジャケにしてくれたらもっと感激したんだけど。
 この時期のカンサスはひたすら上り調子なので、どのアルバムを聴いても楽しめるのだけれど、一枚選ぶとすればやっぱり「暗黒への曳航」かな。プログレ色を保ちながらも楽曲がポップでわかりやすく、しかもスリリングだ。ライナーノーツを読んだら、この時期、メンバー間ではかなりの不協和音が生じていたりしたらしいが。
 でも僕がほんとうに一番好きなアルバムは「偉大なる聴衆へ」という2枚組ライヴ。あれもきちんとリマスターして、CD化されたときにカットされた曲も元に戻して、ついでにボーナストラックも追加したりして出してくれないかな。

 2005年1月22日(土)  I wanna be adored
◆イアン・ブラウン、「ローゼズを解散したのはあいつ」(BARKS)
 ジョン・スクワイアに「音痴」「被害妄想」と批判されたイアン・ブラウンが「あいつは俺の成功に嫉妬しているだけ」と反論。さらに…
あいつは、その世代では最高のギタリストだったって言われてるだろ。俺もそう思うね。“だった”。最近の音楽聴いたけど、奴のギター、どうなっちまったんだ。奴が成功してたのは、俺が横にいたときだけだよ。別れてからは何にもない。
 ただの罵りあいだな、こりゃ。

◆アシュリーにバッシングの嵐!「やめろサイト」が大人気(海外ボツ!News)
 TVで口パクしてたのがばれたアシュリー・シンプソンをやめさせるためのサイトが大人気だそうで。
 アシュリー・シンプソンって誰だっけ……としばらく頭を抱えてたんだけど(←ジジイ)、ここ見てやっと思い出した。あージェシカ・シンプソンの妹だ。前に「めざましTV」で見たことあるわ。なんかしょうもないものもらって「クール!」とか叫んでた。
 それはそれとして、この「やめろサイト」の文言もすごいね。
ここに署名をした我々は、アシュリー・シンプソンのひどい歌にうんざりし、彼女の引退を求めます。レコーディング、ツアー、モデル業、公演の全てを中止しなさい。我々は二度と彼女を見たくありません。
 なんか、なっち事件を彷彿とさせる。これでこのサイトを作った人物(18歳の女の子だそうだ)が鼻高々だったりするとやだな…。
 ちなみに、そもそもの発端となったサタデイ・ナイト・ライヴでの口パクについては以下の記事に詳しい。問題の場面の動画も見られます。
 ▼ABC振興会<人気生番組でクチパクがバレちゃったアシュリー・シンプソンに大非難>(2004/10/25)

 2005年1月21日(金)  つれなのふりや
 
 PANTA&HAL補遺編。2004年になって発掘されたDVD「Fighting 80」である。
 「ファイティング80」は、1980年代初期にテレビ神奈川が制作していた公開ライヴ番組。宇崎竜童が司会だった。
 僕が住んでいた東海地方でも、ローカルUHF局を通じて放送されていて、毎週楽しみに見ていた記憶がある。ロック・ミュージシャンのライヴ演奏を見ることのできるTV番組なんてほとんどなかった時代だし。
 このDVDは、その番組にPANTA&HALが出演した時の演奏を収録したもの。収録日は80年9月18日、「TKO NIGHT LIGHT」のほぼ2ヶ月後の演奏だ。よく映像が残ってたよなあ。
 演奏は約20分と短いけれど、いきなり「マーラーズ・パーラー'80」ではじまって「ルイーズ」「つれなのふりや」「屋根の上の猫」と続くから満足度は高い。25年という時を経たせいか、映像はにじんで輪郭がぼやけているし、ファンの女の子のヘアスタイルやファッションなどにも時代を感じてしまうのだけど、汗だらけで歌うパンタだけはなぜか全く古びていない。不思議だ。
 最後のインタビューで宇崎竜童がこんなことを言っている。「角はとれたけど、丸くない」と。うむむ。名言なり。
光の壁をすりぬけて 俺はきみになる/時のすきまを横切って きみは俺になる/昇りつめた想いの鍵を 君の足首にひっかけようと/俺はいつか なぜか きっと猫になる/そして そのまま また屋根の上」(「屋根の上の猫」) 

 2005年1月20日(木)  タッチ・ミー
 
 仕事の行き帰りにPANTA&HAL「TKO NIGHT LIGHT」を聴く。彼らが最後にリリースしたライヴ・アルバム。
 1980年7月16日、日本青年館におけるコンサートを収録。アナログでは2枚組だった。録音した音源に全くオーバーダブや修正を加えていないので、とても生々しい。「マラッカ」や「1980X」での鈴木慶一による意匠をはぎとった剥き出しのPANTA&HALがここにいる。
 まあ、そのおかげでパンタの歌い間違い・歌詞忘れもそのまま収録されてしまっているんだけど。
 そのあたりの事情について、パンタ自身はこう語っている。
ツアーを全部録音して、その中からベストテイクを選ぶという形は、この国では予算的に無理だから、逆に開き直って、一回限りの歴史の記録として考えて、一切の修正を加えないことにしたんだ。そのことについては、後で少し後悔することになるけど…「モータードライヴ」の歌詞のつまりとか。ライヴは一回限りでも、レコードは繰り返し聴くわけだからね。
 あ、やっぱちょっと後悔してましたか。でもこれで良かったんだと思いますよ。
 ここでは、「HALのテーマ」「螺尾」「フローライン」「TKO NIGHT LIGHT」といったオリジナルアルバム未収録曲も数多く演奏されている。
 特にシングル「ルイーズ」のB面に収録されていた「ステファンの6つ子」は、事故で半身不随になった少年に向けて作られた作品で、パンタの柔らかなまなざしがとても感動的な曲だ。
「四角い小さな部屋の中にも/でっかい世界がころがって/きみに蹴られるのを待ってるはずだよ/稲妻にうたれてよみがえれ」
 しかし、その「ステファン」をさらに超える演奏がここには収録されている。「マーラーズ・パーラー’80」である。これはもう誰がなんと言おうと譲れません。
「ろくでなし野郎赤い羽根/ミシンをかついだギタリスト/傘をかぶったベーシスト/おいらは銀河のニヒリスト」
 HALがたたき出す性急なビートにのって機関銃の弾丸のように放たれる言葉の数々。リリース当時も興奮したし、あれから25年が経過した今聴いても興奮する。そして同時に泣けるのだ。
「階段の下でふるえてた/ねずみが明日を見つめるように/時の流れに身を任せ/今日もぶらぶら電気の街を」
 というわけで、たった3枚しかないPANTA&HALのアルバムをこの三日間紹介してきたのは、少しでも多くの人に聴いて欲しいなあと思うからです。そこの若い衆にも。絶対損はさせないから。 

 2005年1月19日(水)  ブリキのガチョウ
 
 出勤時にPANTA&HAL「マラッカ」を聴く。
 「1980X」でPANTA&HALに出会った僕は、次にこのアルバムを聴いた。一聴してとまどったのを覚えている。「マラッカ」のイントロで鳴るサンバ・ホイッスル。ラテン・リズム。その他もろもろのエスニックなデコレーション。
 シャープで硬度の高い「1980X」とはあまりに違うサウンドだった。それはこのアルバムのテーマ「オイル・ロード」から拡がっていったイメージだったのだろう。
 しかしパンタはインタビューに答えて言っている。
−「マラッカ」という曲のアレンジですが、曲を書いてる時に、あのサンバ調とか、イメージにあったんですか。
P ないない。俺そういう発想ないもの。だって、マラッカなのに何でサンバなんだよ(笑)。
  誰が言いだしたのか覚えてないけど、そのへんの理不尽なところは、いまだに納得がいかない(笑)。
 ははははは。本人も違和感持っていたのか。
 そのように最初は頭上に?マークをいくつも浮かべて聴いたアルバムだったが、繰り返し聴くうちに結局はひきこまれていった。その一番の原因は「つれなのふりや」と「裸にされた街」が収録されていたからだと思う。
 特に「裸にされた街」の美しさは格別だった。
「なにごともなかったみたいだ 街を行く人々の顔は/あれほど深かった傷あとも消して 季節のよろめきに身をまかす/闇の中を子供の群れが 松明を片手に進む/100 200 300と死に場所を求めて だれひとり 声もたてずに/裸にされた街に 渇ききった風が 砂ぼこり舞いたて/愛しすぎてた街に 色とりどりの朝がまたくる」
 70年安保、三里塚闘争、連合赤軍事件といった「政治の季節」の終焉と喪失感を歌ったとされる曲。いつ聴いても胸をうたれ、うつむいてしまう。この1曲があるだけでもこのアルバムは名盤とよばれるだけの価値があると思う。
 しかし「マラッカ」と「1980X」、これだけ振幅の大きいサウンドをプロデュースした鈴木慶一の力量というのは大したもんだなあ。「マラッカ」製作時には神経をすり減らし、耳を痛め、胃潰瘍にまでなってしまったらしいのだけど。合掌。

 2005年1月18日(火)  キック・ザ・シティ
 
 仕事の行き帰りにPANTA&HAL「1980X」
 僕にとって中村治雄という人は、頭脳警察のパンタではなくPANTA&HALのPANTAだ。
 高校生の頃、FMラジオから流れてきた「ルイーズ」(世界初の試験管ベビーを題材にした曲)のソリッドな切迫感が忘れられず、ほどなくこのアルバムを手に入れた。
 それから繰り返し繰り返しこのレコードを聴いた。洋楽ロックばかり聴いていた自分にこのアルバムは、日本にもリアルな音楽があるということを教えてくれたのだ。
 「Audi80」という曲が収録されている。こんな詞の曲だ。
「横殴りの雨に浮きあがるワイパー/おまえを積んだトランクルーム まるでレディ・シュライヤー/Audi Audi ドライヴウェイ/水煙の中を追い越してくライダー/がなり声をあげるFMニュースキャスター/Audi Audi ドライヴウェイ/トランクでおまえは転げ回り/唇を奪うガムテープが 知りすぎた涙ではがれそうさ」
  この曲の背景にはシュライヤー事件がある。リマスターCD('04)の小野島大氏によるライナーノーツから引用する。
ドイツ赤軍派グループが、西ドイツ工業連盟会長ハンス・シュライヤーを誘拐、獄中の同志バーダー=マインホフら4人の釈放を要求するものの拒否され、さらにドイツ政府が獄中の4人は「自殺」したと発表したので、報復のためシュライヤーを殺害したという事件。シュライヤーの死体が発見されたのがアウディのトランクだったという。
獄中の4人はドイツ政府によって殺害された疑いが持たれており、当時の左翼反体制運動に対する国家的弾圧の一典型とされる。
 バーダー=マインホフ・グループ。ドイツ赤軍。こんなこと、高校生だった自分が知るはずもなかった。
 そもそも「1980X」というアルバムタイトルが、来る「Xデイ」を意識したものだということすら知らなかったのだから。
 ところがBOXのブックレットで、パンタは「Audi 80」についてこう言っている。    
あれはほんとは100だった。80だとトランクが小さくて人詰め込めない…。
 あらららら。ちょっと力が抜けたよ。
 というわけで、僕にとっては今聴いてもいろいろと新しい発見があるアルバム。他の人にとってどうかは知らん。
「たたき割ったビールびん握りしめて 血だらけでぶっ倒れてるオレに/おまえのなぐさめのバケツの水は バックリと裂けた傷口を冷たくあらう/はれあがる目に お前の尖ったヒールがかすんでるぜ」(「ルイーズ」)
 Xデイがやってきたのは、このアルバムがリリースされてから実に9年近くが経過した1989年1月のことであった…。

 2005年1月17日(月)  夜と日時計
◆2004年紙ジャケ大賞(紙ジャケ探検隊)
 1位はペンタングルかあ…買ってねえや。うーん。
 それより気になったのはこの発言
W:ロシア製というふれこみでユニオンで売られてた紙ジャケがあったけど。
S:あれは・・・あれだそうだ・・。
W:あれか?そうだな・・ま、バッドフィンガーもくるから2005年に期待しよう。
 そうですか。やっぱりあれですか。ふはっ。

 出勤時に小沢健二「刹那」。月曜の朝の弱った心にずぶずぶと入ってくる。
「時は流れ傷は消えてゆく それがイライラともどかしく/忘れてた過ちが 大人になり口を開ける時/流れ星探すことにしよう もう子供じゃないならね」(「流星ビバップ」)
 阪神大震災から10年。あの日の昼、食事に入ったそば屋のTVで「死者200人」というニュースを見て驚いたことを鮮明に憶えている。そんなに多くの人が亡くなった地震というのは自分の記憶にはなかったから。
 最終的には200人どころじゃなくて、6000人を超える方々が命を失ったわけだけれど。
 仕事の帰りにはTommy February6「Tommy Airline」。セピア色のメモリー。

 2005年1月16日(日)  I should have known better

(クリックすると大きなサイズの写真が開きます)

 木曜日に日帰りで東京出張に行った。例のごとくお茶の水ディスクユニオンに寄る。
 ビートルズのロシア盤紙ジャケCDが新品・中古とりまぜて並べてあったので、ついつい買ってしまった。
 今回買ったのは「With The Beatles」「A Hard Day's Night」「Sgt.Peppers」の3枚。
 あいかわらずジャケの出来は素晴らしい。コーティングのかけ方やらフリップバックやら。ペパー軍曹インサートもちゃんと再現されているし。ジャケットの美しさをしみじみと味わう。
 ところが、中のディスクを聴いてみてびっくり。「With The Beatles」と「A Hard Day's Night」は冒頭に針音が入っているじゃないすか。え、盤起こしかよ、と思ったら2枚とも現行CDとは違ってステレオバージョンでした。(よく見るとジャケにも「STEREO」の文字が。)
 この紙ジャケCDシリーズは「ロシアでは公式盤」とか言われていたけど、こうなるとちょっと怪しくなってくるなあ。
 だって公式にはCD化されていないUKステレオ盤が、ロシアでだけ発売許可されるわけないもんなあ。手元にマスターテープないからLPから盤起こししたんだろうなあ。やっぱブートレグってことになるのかなあ。
 なお、「Sgt.Peppers」の音は現行CDと同じ(ステレオ盤)で、針音は入っていませんでした。ラストのInner Grooveも現行盤と同じ形です。
 ちなみに、一番右の写真はそのとき一緒に買った「THE BEATLES & FRANK IFIELD ON STAGE」の中古紙ジャケ。
 Vee-Jayレコードがビートルズ人気に乗じて乱発したアルバムのひとつ。ビートルズの曲は4曲しか収録されていません。しかもタイトルに「ON STAGE」と書いてあるにも関わらず、スタジオテイクばかりという詐欺のようなアルバム。
 このCDは明らかにブートですね。音も盤起こしでした。でもジャケ自体はそれなりに感じが出ていてちょっと良いです。

 2005年1月14日(金)  News of the world


 更新休止している間に見つけたお気に入り&気になるもの。

◆ジナ・バーチ(レインコーツ)インタビュー( from "Obsession and Obscure"
 Sycoさんによる翻訳。96年のインタビューだそうです。
Q.レインコーツに影響されているなと思うバンドがありますか??
A.無いのよね(笑)。それって変よね。だってたくさんの人がレインコーツに影響されてるって言ってるのだもの。
  でも本当に、どんなバンドにもレインコーツの影響を見つけられないの。
 たしかにそうかも。

◆BACK TO THE 80's
 12月に発売されたばかりのアルバム。いっけんありがちな80年代コンピレーションに見えるのだけど……これのすごいとこは、CD収録曲すべてのPVを収めたDVDがセットになっているところ。しめて32曲。「恋におぼれて」「マネー・フォー・ナッシング」「19」「RELAX」「墜ちた天使」…。とてもキュートなスウィング・アウト・シスター「ブレイクアウト」も。
 4800円とちょっと高いけど、これは欲しい。

◆The Jam「SNAP!」完全版CD
 解散直後にリリースされたベスト・アルバム(アナログ2枚組)の完全CD化。
 これまでにも「Compact Snap!」としてCD化されてはいたものの、収録時間の関係でアナログ収録曲29曲のうち21曲しか収録されていなかった不完全燃焼盤でした。
 今回の完全版には全29曲をフル収録したうえに、アナログ初回盤のみに付いていたボーナスEP音源(ライヴ4曲)も収録。これは嬉しい。ほんとかっこいいんすよ、このライヴ・テイクは。ああ、これではじめて「Move On Up」や「Get Yourself Together」を聴いたんだったな…。
 限定5000枚。通販のみ。ううむ。これまた買っておくべきか。   

 2005年1月12日(水) Freak out
 あけましておめでとうございます。
 年末、猫にPCのACアダプタコードを食いちぎられてしまって、更新できない状況に陥っておりました。やっと今日、新しいアダプタが届いたので更新再開です。
 年末年始、PCが使えなかったおかげで年賀状は作れないし、参加しようと思っていた2004年ベストアルバム選出企画にも参加できず、といろいろと義理欠き状態になってしまいました。申し訳ありません。
 というわけで、ここで2004年の私的ベストを発表しておきます。
◆新譜ベスト5
 
 1.マフス「Really Really Happy」
 2.ソニック・ユース「Sonic Nurse」
 3.ブライアン・ウィルソン「SMiLE」
 4.佐野元春「THE SUN」
 5.Tommy February6「Tommy Airline」
  2004年は、僕にとってマフスとソニック・ユースの年でした。ということで1と2は文句なく。
  3はほんと感動したので。すべての音楽好きに聴いてもらいたい傑作。
  4は心意気とクオリティの高さに感動。
  5については、正直うーむなのですが、結局1年を通して聴き続けてしまったので。

◆リイシュー&発掘音源ベスト5
 
 1.はっぴいえんどBOX
 2.PANTA&HAL BOX
 3.イーグルス紙ジャケ再発
 4.クラッシュ紙ジャケ再発
 5.ニルヴァーナ「With The Lights Out」
  1はもう凄い。圧倒的。とんでもないパワーを注ぎ込んで編集されたBOX。
  2はほんと嬉しかった。特に「1980X」をじっくり聴き直せたことと、DVDの動くパンタに。
  3,4はともにアーティストへの愛情溢れる紙ジャケでした。これがスタンダードになって欲しい。
  5は……今も複雑な感情を抱えたままなのですが、やっぱり入れざるを得ません。

◆がっかり盤
 
 1.Utada「EXODUS」
 2.加藤和彦ヨーロッパ三部作再発
 3.ブライアン・イーノ紙ジャケ再発
  とくにがっかりしたもの3つ。
  1はもうなんというか…なかったことにしておいたら。
  2は「アナログと同一のマスター使用!」という売り文句と実際の違いに。
  3は紙ジャケ化のおもしろみのなさに。しかも高いのよ。

 では、本年も「音楽観察者」をどうぞよろしくお願いいたします。

過去の日記はこちら↓
2004年 12月後半12月前半11月10月後半10月前半9月後半9月前半8月後半
8月前半7月後半7月前半6月後半6月前半5月後半5月前半3月後半−4月
3月前半2月後半2月前半1月後半1月前半
2003年 12月後半12月前半11月後半11月前半10月後半10月前半9月後半9月前半
8月後半
8月前半7月後半7月前半6月後半6月前半5月後半5月前半
4月後半4月前半3月後半3月前半2月後半2月前半1月後半1月前半
2002年 12月後半12月前半11月後半11月前半10月9月8月7月6月5月
4月
3月2月1月
2001年 11月〜12月

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