ジョンの魂 ◎ジョンの魂〜ミレニアム・エディション〜        
 1. マザー(母)
 2. しっかりジョン
 3. 悟り
 4. ワーキング・クラス・ヒーロー(労働階級の英雄)
 5. 孤独
 6. 思い出すんだ
 7. ラブ(愛)
 8. ウェル・ウェル・ウェル
 9. ぼくを見て
 10. ゴッド(神)
 11. 母の死
 (ボーナストラック)
 12. パワー・トゥ・ザ・ピープル
 13. ドゥ・ジ・オズ

★<ジョンの魂> ジョン・レノン

 「愛と平和のジョン・レノン」なんていい方にはひどく抵抗を感じる。彼がそんな単純な言葉でくくられるような人間でなかったことは、このアルバムを聴いたことのある人はわかってくれると思う。
 
 これはとてもパーソナルなアルバムだ。ここで歌われるのは、両親との葛藤、周りの世界との軋轢、ビートルズとの決別、その中でなんとか自分を失うまいとあがく彼とヨーコの姿である。こういった赤裸々な感情が、いまどきデモテープでも使われないような、なんの装飾もないシンプルなアレンジで演奏される。
 
 しかし、この作品はそこまでパーソナルでありながら普遍性を持つという稀有な作品でもあるのだ。そこにジョンのすごさがある。たぶん、これは彼にしかできないことなのだろう。
 
 これ以降の彼の音楽は、基本的にここでのスタンスの繰り返しだったと僕は思う。だからこそ原点は最も美しい。
 
 古ぼけたブルースのような音質で録音された「母の死」にはいつも胸をしめつけられる。これは本当に彼自身のブルースだったのかもしれない。

「僕の母さん死んじゃった/ずいぶん昔のことなのに/どうしても信じられないんだ/僕の母さん死んじゃった/どんなに苦しかったか/とても説明できない/だから誰にも言えなかった/僕の母さん死んじゃった」

 先日発売されたリマスター&リミックス盤では音像が鮮明になり、生々しさが増した。ジョンの息遣いまで感じられそうだ。すでに既発盤を持っている人にもお勧めする。
 
 (2000/12/8)

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